宇都宮市創造都市研究センターは、10月25日(月)16時15分より、2021年度の公開講座として「創造都市宇都宮 地域活性化のための公開講座」を宇都宮共和大学宇都宮シティキャンパスにおいて開催しました。
本講座では、「地域の歴史・文化に着目した創造都市宇都宮の形成」というテーマのもと、地域の歴史・文化を創造都市化にどう活かすかという視点で講演とパネルディスカッションを実施しました。
当センターの長島重夫氏(文星芸術大学地域連携センター長)より開会の挨拶を申し上げた後、「我が国における創造都市に向けた注目すべき活動の現状」というタイトルで当センター運営委員長の春日正男氏(船田教育会(作新学院大学)顧問)より、創造都市の基礎知識、歴史文化や芸術を活かした創造都市化に関する全国各地の先進的な取組み、また本日議論すべきポイントについて説明がなされました。
次に、宇都宮短期大学教授の江田郁夫氏より、「800年来の「古都宇都宮」の現在、そして未来」と題して、中世における宇都宮の性格や位置づけ、有力武将や幕府の宇都宮との関係について専門的知見に基づく説明を踏まえた上で、800年以上続く古都としての宇都宮の歴史的基盤を活かす視点をご提示いただきました。
さらに、宇都宮市教育委員会事務局文化課主幹の今平利幸氏より、「宇都宮市歴史文化基本構想について」と題して、2018年に策定されたこの構想をもとに、宇都宮市の歴史文化にみられる8つの特性とそのストーリー、また宇都宮市内に約3,000もあるとされる歴史文化資源の保存活用方針についてご講演いただきました。
そして、本講座のテーマである「地域の歴史・文化に注目した創造都市宇都宮の形成」について、約40分にわたりパネルディスカッションを行いました。パネリストとして江田郁夫氏、坂本明氏(宇都宮市文化財ボランティア協議会)、西山弘泰氏(当センター運営委員・宇都宮共和大学)、田辺義博氏(NPO法人宇都宮まちづくり推進機構)の4名が登壇し、モデレーターを春日正男氏が務めました。
各パネリストから、これまでかかわってきた宇都宮の歴史文化の発信活動、歴史文化に対する宇都宮市民の認識や価値観、そして創造都市化への視点について個々に発言がありました。宇都宮には800年以上にわたり、各時代の政権との関わりや、首都圏・東北地方との中間的位置に由来する歴史文化が積み重なってきたものの、戊辰戦争や太平洋戦争時の空襲、戦後の都市開発などにより、それらが認識しにくくなっているとの指摘がありました。その上で、宇都宮市民が宇都宮の歴史文化について積極的に認識していくこと、歴史文化が積み重なっているまちとして誇りに思うことが、歴史文化を創造都市化に活かす契機として重要であるとの総括に至りました。
聴講した宇都宮共和大学の学生は、「私は宇都宮市外出身で高校から宇都宮に通学するようになりましたが、大谷石などの宇都宮の文化を知ったのはつい最近でした。まだまだ身近な地域の歴史・文化を知らないと感じました。」と発言していました。
なお、本講座の開催にあたりまして、会場入口での検温・消毒の実施、座席の指定、また出席者数を会場の収容定員の半数以下にする感染対策を実施しました。
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1枚目:講演の様子 2枚目:パネルディスカッションの様子