当センターでは、2月28日(月)14時より第6回FD・SD研修会を宇都宮共和大学宇都宮シティキャンパスにおいて開催しました。
本研修会では、宇都宮市創造都市研究センターを構成する大学の教員・職員を対象に、交通工学・交通計画をご専門とする宇都宮共和大学シティライフ学部の古池弘隆特任教授を講師にお招きし、「LRTによる宇都宮都市圏のまちづくり」と題して講演を行いました。なお、開催にあたっては、感染防止対策として対面のみならず、オンライン(Zoom)での即時配信を併用して実施しました。
研修会では、2023年3月に開通が見込まれている芳賀・宇都宮ライトレール(LRT)について、これまでの計画の経緯やその背景にある宇都宮の都市交通問題、行政の動向、政治的な動向を、これまでLRTの導入に長年にわたって関わってこられた古池先生より、1時間以上にわたってご講演いただきました。
まず、LRTの導入に至る背景としての宇都宮の交通問題について説明がありました。宇都宮市は平地であるがゆえに道路整備が進んだ結果、全国有数の自動車交通に依存する都市となり、排気ガスの排出量も全国有数であるとの指摘がありました。1990年代以降の郊外での宅地や工業団地の建設によって、ますます自動車交通への依存が進むとともに、その影響として中心商店街であるオリオン通りから郊外での大型商業施設へと買い物先が移行したことを、古池先生が当時撮影された写真などをもとに解説されました。
次に、新交通システムとしてのLRTの導入に向けた1990年代からの官主導の動向を、当時のシンポジウムのチラシや新聞記事、また古池先生ご自身の実体験をもとにお話しされました。LRTの導入に際しては、栃木県知事、宇都宮市長の各首長選挙の影響が強く、選挙のたびに争点となってきたこと、また2010年代以降、宇都宮市での計画の加速化や民間事業者の理解が進んだ結果、2016年に国からLRTの事業計画が妥当との答申を得て整備が進んできたことを強調されました。
講演後には、JR宇都宮駅西口以西へのLRT延伸を見据えた場合のまちづくりの方向性、LRT開通後の路線バス網の再編に関する質疑応答が交わされました。芳賀・宇都宮LRTの整備は、現在の宇都宮のまちづくりの重要なポイントであることから、「創造都市 宇都宮」の形成を考えるうえでも大変参考となる研修会となりました。
<写真>
1枚目:講師の古池特任教授(聴講者と十分な距離を取って講演をしました) 2枚目:講演中の様子 3枚目:質疑応答の様子