宇都宮市創造都市研究センターは、9月6日(火)15時より、第7回FD・SD研修会を作新学院大学中央研究棟において開催しました。
本研修会では、宇都宮市創造都市研究センターを構成する大学の教員・職員を対象に、作新学院大学経営学部長・大学院経営学研究科長の前橋明朗教授を講師にお招きし、「実践 コーポレート・ガバナンス― 中堅中小企業の新たなる発展のために―」と題して講演を行いました。
宇都宮市創造都市研究センターの構成校の教職員のみならず、作新学院大学の学生も多数聴講しました。
はじめに、会場校の渡邊弘学長より開会の挨拶を申し上げたのち、前橋先生より1)コーポレート・ガバナンスとは何か、2)中堅中小企業になぜコーポレート・ガバナンスが必要なのか、3)中堅中小企業になぜコーポレート・ガバナンスが有効なのかの3つのテーマについて、合わせて70分間にわたってお話しいただきました。
一般また経営学でもよく議論される「企業とは誰のものか」という問題から講演は始まりました。会社(企業)の多数を占める「株式会社」誕生以降の歴史をみると、徐々に経営者が会社や株主を支配するようになっていったことをまず指摘されました。このように、会社が経営者によって私物化される事例が多く出たことで、会社の統治のため、コーポレート・ガバナンスという概念が出現したことを説明されました。
コーポレート・ガバナンスは、大企業の効率化(攻めの姿勢)のために使われている側面があり、また最近は企業が達成すべきコンプライアンス事項が増加してそのための法務関係の専門部署への負担が大きいとの話がありました。このように大企業でもコーポレート・ガバナンス策定への対応には苦慮していることから、中堅・中小企業がこれらを模倣してコーポレート・ガバナンスを策定し運用していくことは非常に負担であるという指摘が前橋先生からなされました。
特に、最近ではESG投資における環境や社会的責任への取り組みやその公表なども企業は求められるようになったことから、大企業では「何でもガバナンス化」が進行しており、こうした状況はコーポレート・ガバナンスの本質からそれているとの指摘も前橋先生からなされました。それゆえ、中堅中小企業においては、コーポレート・ガバナンスの本質である企業のマネジメントのために取り組むべきとの提案が示されました。また、経営者だけでなく、一般労働者もコーポレート・ガバナンスについて無関心ではなく知っていく必要があるとの提案もなされました。
企業経営におけるガバナンスに関するテーマではありましたが、大学のガバナンスを考えるうえでも通ずる部分がありました。
<写真>講演の様子