宇都宮市創造都市研究センターは、10月17日~31日に、宇都宮市まちづくり交流センター「イエローフィッシュ」にて「社会人向け創造的キャリア形成プログラム まちなか大学」を開催しました。
まちなか大学は、宇都宮市内の特色ある大学の専門知識を創造的にまちづくり活動を進める担い手や関心のある層へ広く提供し、多角的視野と実践力を高める機会です。年齢や役職に関係なく、まちづくりの実践者同士にとって多様な学びの場や繋がりの機会となり、宇都宮市の社会環境に貢献していくことを目的としています。
各回の講演は以下の通りです。
①2022.10.17(月)18:30~20:00
「まちづくりにおける市民参加―これまでとこれから―」宇都宮共和大学シティライフ学部 教授 陣内 雄次 氏
②2022.10.21(金)18:30~20:00
「多様な子どもたちの育ちを支える地域づくり―応用行動分析学に基づく問題解決―」作新学院大学人間文化学部発達教育学科 講師 石塚 祐香 氏
③2022.10.24(月)18:30~20:00
「人口減少・少子高齢化は本当に問題か?」帝京大学経済学部地域経済学科 教授 山口 泰史 氏
④2022.10.31(月)18:30~20:00
「人生100年時代を見据えた大学の役割」文星芸術大学副理事長兼地域連携センター長 長島 重夫氏
1日目の陣内氏の講演では、ご専門の都市計画、まちづくりの視点から、まちづくりにおける市民参加の重要性を強調されました。日本やアメリカにおける都市計画の法整備の展開をたどったのち、アメリカ・ミズーリ州のブルーイット・アイゴー団地の事例を紹介されました。この団地は、1950年代にアフリカ系アメリカ人と白人との混住をめざしたものですが、そのねらいはうまくいかず、1972年に団地が解体されました。このことから、市民の声、地域の歴史や文化を無視した開発に対する教訓が得られたそうです。また、新潟県湯沢町のやさしいまちのレシピの取り組みから、多様な住民層がまちづくりにかかわる様子を紹介されました。今後は、SNSなどを活用すれば、オンラインでのワークショップが実現でき、まちづくりへの市民参加が促される可能性も指摘されました。
3日目の山口氏の講演では、日本の人口や出生率、健康寿命の推移などのデータから現在の日本の人口の状況について概観したうえで、人口減少や少子高齢化は本当に「克服すべき課題」なのかと提示されました。人口減少や少子高齢化の克服は、地域ごとに住民が主体的に解決すべき課題なのか検討すべきと強調されました、実際に、島根県や広島県などの山間部の集落での地域活動の事例をふまえ、人口問題の解決を目的化せず、住民の主体性や満足度向上が課題解決を促すとの見解が披露されました。
ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。
<写真>1枚目:陣内氏の講演 2枚目:長島氏の講演 3枚目:会場の様子(4回目)