当センターは、2月20日(月)10時30分より第8回FD・SD研修会を文星芸術大学において開催しました。
本研修会では、宇都宮市創造都市研究センターを構成する大学の教員・職員を対象に、文星芸術大学美術学部の田中誠一特任教授を講師にお招きし、「DX時代に生きる~大学における人材育成~」と題して講演を行いました。なお、開催にあたっては、対面とオンライン(Zoom)での即時配信を併用して実施しました。
はじめに会場校の文星芸術大学の田中久美子学長より、開会の辞を述べたのち、長島重夫当センター事務局長より、田中誠一先生のご紹介がありました。
週刊少年ジャンプやスポーツ誌Numberなどへの作品や記事掲載のご経験をおもちの田中先生は、「携帯電話で漫画を読む人なんていない」と言われた時代から、ガラパゴス携帯での連載を進め、バイブレーションやスクロール機能、小さな画面のサイズを活かした漫画の発表を先駆的に進められてこられました。
次に、1992年にインターネットのプロバイダーサービスが開始し、人類が扱う情報量が爆発的に増加してきたこと、その後21世紀になり、GAFA、BATH(中国でのGAFAに相当)の成長、MT SAAS(マウントサース)の台頭によるサブスクリプションサービスの定着、そしてスマートフォンの普及などを挙げながら、2045年にAIが人間を凌駕する「シンギュラリティ(技術的特異点)」の時代を迎えつつあることを指摘されました。
また、栃木県の人権啓発に関するアニメーション動画制作、那須町でのAR技術を生かした九尾狐による観光案内「プロジェクト9b」、さくら市でのデジタルスタンプラリー「嶋子とさくらの姫プロジェクト」など、動画が有する圧倒的な情報量を活かした動画制作や観光案内にゼミとしてかかわってこられたことから、美大であることを様々な地域連携活動に活かしてきたことを紹介されました。
そして、現在は帝京大学宇都宮キャンパスとも連携しながらXR(クロスリアリティ)、メタバースの研究を進めていることをご紹介されました。
最後に、文科省が進めている教科横断的な学習の推進である「STEAM教育」の重要性と、任天堂をゲーム企業として成長させた横井軍平氏が述べた「枯れた技術の水平思考」というすでに使いこまれた技術と既存の概念にとらわれないものの見方の組み合わせが、DX時代に目指すべき方向性であることを強調されました。そのためには、知識も重要であるが、大学では様々な課題を解決するための「思考法」を教えるべきだとお話しされました。そのために、様々な大学との連携が必要であると指摘されました。
講演後には、仮想空間の利用やコンテンツの権利の扱いに関する質疑応答が交わされました。デジタル技術活用や大学間連携による研究の取り組みは、「創造都市 宇都宮」の形成を考えるうえでも大変参考となる研修会となりました。
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1枚目:講演中の様子 2枚目:会場の様子